2014年10月27日月曜日

地域包括ケアの半歩先ゆく進み方

11月29日(土)開催のセミナー「介護報酬改定の半歩先を行く地域包括ケア事業の作り方」にゲスト講師として 齊木 大・日本総研創発戦略センターシニアマネジャー を迎えることになりました。
テーマは「地域包括ケア時代のビジネスモデル『ギャップシニア・コンソーシアム』のリリース」です。
ギャップシニアとは「虚弱~要支援の高齢者」を指す造語です。
官民一体でプラットフォームを作り 新しい生活サービスを充実させる試みで「自助に互助をミックスさせた民間の智恵」から生まれたスキームといえます。
民間の智恵が 地域包括ケアを担うイノベーションを生み出すかどうか 大きな注目を集めています。
私も「介護報酬マイナス6%改定の真相」「機能に応じた報酬体系の姿」など ヘルスケア事業関係者なら誰でも知りたい最新の話題をお話しします。
ご参加をお待ちしています。

2014年10月14日火曜日

介護報酬6%マイナス改定の波紋

10/8の財政制度等審議会(財政審)で提起された「介護報酬の6%マイナス改定」が波紋を呼んでいます。
9日には日本慢性期医療協会の武久洋三会長が定例記者会見で 翌10日には全国老人保健施設協会の東憲太郎会長が緊急会見で 反対を表明しました。
業界では 消費税増税を受けて 報酬改定について「ある種の楽観論」も広がっていましたが 9/18付の日本経済新聞の「介護職員賃上げへ 15年度 月1万円 人手を確保 賃金以外の介護報酬を抑制」報道をきっかけに 10/3の「介護事業経営実態調査」による収支差率発表へと大きく潮目が変わりました。
もちろん財務省が介護報酬の引き下げを求めるのは毎度のことで 年末の予算編成に向けた財務省と厚生労働省の折衝次第で結果は違ってきます。
しかし今回は「介護職員処遇改善加算」を人質にとられ 特養や通所介護のマイナス改定は避けられない情勢といえるでしょう。
風雲急を告げる報酬改定と介護保険制度改革の着地点を示すセミナー「介護報酬改定の半歩先を行く地域包括ケア事業の作り方-報酬と基準を先取りし 大改革を乗り越える事業を再構築するために」を11/29(土)に開催します。
時代が求める事業構築の道筋をていねいにお示しします。
セミナー概要と申込書はこちらからどうぞ。

2014年8月27日水曜日

福岡で高齢者住宅の経営戦略をお話します

9月6日(土)福岡市でセミナー「高齢者住宅の実態から導く 『理想の住まい』と経営戦略~介護報酬改定の先を読む」(大和ハウス工業・日本医療企画共催)の基調講演を務めます。
『地域包括ケアが求める「住まい」と「住まい方」~支援・サービスと高齢者住宅~』という演題で 社会と制度の動向と利用者のニーズを踏まえ 医療法人・社会福祉法人・営利法人が 高齢者の住まい事業にどう取り組んでいけばいいのかをお話します。
診療報酬改定の影響と来年度の介護報酬の動向 さらには「ヘルスケアリート」の行方や空家を活用した低所所得者向けの住宅施策の目指すものなど 地域包括ケアシステムの構築にあわせた経営戦略をお示ししたいと思います。
参加費は無料です。
セミナー概要と申込書はこちらから入手できます。
多くのみなさまのご参加をお待ちしております。

2014年8月19日火曜日

ヘルスケアの将来像を問う新刊です!

毎年 監修ないしは編集委員を務めている『介護経営白書2014-2015年版』が刊行されました。
今年度のテーマは「介護の使命と将来像 地域包括ケア時代の『人づくり』」です。
介護の本質的使命と大きく変貌する時代の流れを踏まえ 「介護人材育成」のあり方を多角的な観点から検証し 介護と介護経営の将来ビジョンを浮き彫りにすることを念頭に置いています。
「巻頭特別対談 この国の医療と介護のあり方を問う―10年後の医療と介護そして社会の行方」では 中医協委員に加え社会保障審議会介護給付費分科会と介護保険部会の委員を兼務することになった鈴木邦彦・日本医師会常務理事と「医療と介護の連携の課題と展望」についてディスカッションを行っています。
また「第2編 概説 介護業界の未来を占う―自らの存在を問い他者の知を探れ」では 地域包括ケア時代に取り残されないためのキーポイントを述べてみました。
ぜひ ご一読いただければと思います。

2014年7月16日水曜日

ヘルスケアから生まれる日本発グローバルモデル

昨夕『介護経営白書2014年度版』の企画で 鈴木邦彦・日本医師会常務理事と対談を行いました。
テーマは「この国の医療と介護のあり方を問う10年後の医療と介護そして社会の行方」。
鈴木氏は 直近の改選で 中医協委員に加え社会保障審議会介護給付費分科会と介護保険部会の委員を兼務するという異例の処遇となりました。
日本医師会が「地域包括ケア」とその大前提となる「医療と介護の連携」に本腰を入れた証左といえます。
詳細は 近々刊行される同書および7/19・8/23日のセミナー「給付費分科会と老人保健事業報告書から読み解く報酬改定」(申し込み受付中)でご確認いただければと思いますが 日医の覚悟が伝わってくる対談でした。
少子高齢化のトップランナーであるわが国の特性と質の高い医療を生かした「日本型」の地域包括ケアシステム構築に意欲を示していただいたことには 掛け値なしに期待したいと思います。
医療機関も介護事業者も 保険料と公費で成り立つ社会保障のスキームの中のプレイヤーだという自覚のもと「報酬誘導しかビジョンの実現手段がない」という情けない状況から脱却しなくてはなりません。
「官」ではなく「民」が主体となって築いてきた 欧州にはない しかも米国流でもない 日本発のグローバルモデルが ヘルスケアから生まれることを望んでいます。

2014年7月15日火曜日

地域づくりは私たちの手で

昨日「地域善隣事業 全国会議」に行ってきました。
これは 既存の制度では対応が難しい低所得高齢者の住まいの問題を 空家などの既存ストックを活用して住宅の確保し あわせて生活支援を提供する新しい事業スキームを全国に広めようと高齢者住宅財団が中心となって行っている試みです。
この日は ここから生まれた厚生労働省の「低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業」を実施する自治体の事例が発表されました。
私が特に関心を引き付けられたのは福岡市のモデル事業です。
保証人が確保できずに地域で自立した生活を送れない高齢者の入居を支援するため「自社保証方式」を導入し 高齢者の住宅あっせんに消極的な不動産会社を巻き込んで 高齢者・家主・不動産会社などのステークホルダーが Win-Win の関係を構築していく Fundraising の手法を取り入れていることです。
政府や自治体の財源に頼った社会保障や地域づくりからの脱却が「地域包括ケア」の大きな特徴です。
このような「お上」をあてにしない民間と自治体のコラボがさらに加速することを期待しています。
7/19・8月23日のセミナー給付費分科会と老人保健事業報告書から読み解く報酬改定」では これら最先端のトレンドに事業者がどう取り組んでいけばいいかをじっくりお話します。
まだ申し込みを受け付けていますので ご参加をお待ちしています(両日は無理でも どちらかの日程だけのご参加も歓迎します)。

2014年5月9日金曜日

東北の自治体が消滅してイーグルスだけが栄える!?

今朝「日本の人口が減ると 2040年には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなる」というの報道ありました。
半減する自治体には 青森市や秋田市など県庁所在地も含まれ 東北4県と島根県で全市町村の8割以上が半減という驚くべき推計も示されていました。
一方 プロ野球観客動員数をみると 東北に本拠地を置く楽天イーグルスが36%アップと最高の伸びを見せています。
2007年に米国版『流行語大賞(Oxford Word Of The Year)』を受賞した"locavore"という言葉があります。
"locavore" というのは"local" (地元)に "-vore" (-を食べるもの)という接尾語が付いた造語です。
「地元食愛好家」「地産地消主義者」といったニュアンスでしょうか。
こういった地方の崩壊傾向と地元志向の強まりという一見矛盾した現象が同じように高まりを見せています。
第6期介護保険事業計画の策定を控え 多くの基礎自治体から「地域包括ケアといわれても当地ではきわめて困難」「互助による生活支援は絵に描いた餅」といった声も漏れ聞こえてきます。
行政の責務はさらに重要性を増したといわれますが なにより地域・コミュニティを構成する「人」の存在を忘れてはいけないでしょう。
「~べき」ではなく「~なりたい」という私たちの思いをコミュニティ全体でシェアできれば ため息ばかりの将来とは決してならないはずです。

2014年3月18日火曜日

社会貢献しない社会福祉法人!?

今日の日本経済新聞に「社会貢献義務付けに慎重」という見出しで 次のような記事が掲載されました。
「政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は17日の会合で 社会福祉法人に一定の社会貢献活動を義務付けるよう厚生労働省に求めた。社会福祉法人は補助金や税制面で優遇措置を受けており 一般の企業と競争条件を等しくする狙い。厚労省は『形式的に義務付けるのでなく 実態をみて考えたい』と応じ 義務付けに慎重な姿勢を示した」
一連の社会福祉法人改革の求めに応じた対応ですが この見出しに違和感を覚える人は少なくないはずです。
議事録はまだ公表されていないので 正確な論旨はわかりませんが 固定資産税課税や特養などの参入規制の撤廃など イコールフットの論点やその是非には 多様な視点があるのは理解できます。
けれども「社会貢献」の「義務付け」とは驚きです。
つまり「社会貢献を目的としない」社会福祉法人が存在するということになります。
このレベルの法人は「即法人格の取消」しか道はないはずです。

2014年1月23日木曜日

社会福祉法人・医療法人の聖域にメス

日本時間の本日未明 安倍晋三首相はダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)の基調講演で「岩盤規制」について「向こう2年間いかなる既得権益といえども私の『ドリル』から無傷でいられない」と改革に着手する決意を表明しました。
20日の産業競争力会議(議長:安倍晋三首相)においても 首相は「医療・介護 農業を新たな成長エンジンにするべく改革を進める」として新たな成長戦略の検討方針案が示されました。
具体的に示された政策は 複数の医療法人や社会福祉法人をまとめて運営できる「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」の創設です。
持ち株会社を解禁すれば 病院や介護施設を一体運営でき経営の効率化が見込め 施設間の役割分担が進めやすくなるとしています。
社会福祉法人・医療法人の改革は 長年課題とされてきましたが 既得権者の抵抗でまさに「岩盤」のような聖域でした。
ぜひメスを入れてもらいたいと思いますが これが一部の関係者に新たな権益をもたらすことに終わらないように 国民利益の観点から取り組んでほしいものです。